Volume2,2011

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1.高性能データセンターと高速メモリサーバ、および分散仮想化技術の提案

  【分野】情報工学 クラウドコンピューティング

  平宮康広<Yasuhiro Hiramiya>

 <abstract>

 近年、ネットワーク,特にインターネット回線を介して外部のコンピュータ資源を利用できるクラウドコンピューティングサービスが注目を浴びている。2010年4月10日付け日経新聞の記事によると、2008年の国内データセンターの利用総額は7621億円であった。そして、同じ年に、それに匹敵する額のデータセンター利用料が国外にも流出したらしい。国内データセンター利用料と国外データセンターの利用料がほぼ等価であったとすれば、原因はおそらく日本のデータセンターの運用コストにある。現在のデータセンターの運用コストに占める電気代の割合は大きい。アメリカ等の電気代は日本の電気代の概ね3分の1以下であり、その運用コストの差は歴然である。現状のままでは、国外流出はさらに加速する。このハンディを克服して国内のデータセンターの利用率を高めるためには、国内データセンターの設備コストと運用コストを低減することが不可欠である。同時に、従来のホスティングサービスから脱却した独自のサービスを提供する必要がある。そのため、本稿では、データセンターの冷却技術を既存の空冷式から水冷式,特に海洋深層水を利用した水冷式へと転換して安価で信頼性の高い高性能データセンターを構築すると共に、新しい高速メモリサーバ及び分散仮想化技術を提案する。